利尻山の登山に行ってきた。テント泊は登山口の北麓野営場が便利。

お盆の休みを利用して利尻山の登山に行ってきた。

宿泊は登山口でもある3合目の北麓野営場をテントにて2泊利用した。登山ルートは一番メジャーな鴛泊コース。

フェリー乗り場から山頂までは全て徒歩での移動。

ということで今回は念願でもあった利尻山での登山の記録。

まずはフェリーで利尻島に向かう

稚内までは車で移動し、そこからは徒歩で利尻山を丸々と味わうというのが今回のテーマ。

ということで、稚内からはテントなどを背負いフェーリーに乗り込む。ザックの重量は15kgで、利尻山の麓にある北麓野営場に2泊するという行程だ。

当初は午前中のフェリーに乗る予定だったが、お盆休みのためか旭川〜稚内への道路が思いのほか混雑していたために乗り遅れてしまい、16時40分の便に切りかえるハメになってしまった。

フェリー利用時の駐車場

フェリーターミナルの駐車場は思いのほか小さいので駐車スペースには困るかもしれない。

ターミナルから徒歩10分圏内に道の駅があるので、そこを利用するのもアリだが近年の車中泊問題などで気が引けるという人もいるだろう。

ネットで調べてみると、稚内道の駅の横にも駐車スペースがあったので今回はそこを利用してみた。

駐車場の画像

この北臨港駐車場というのが無料で、管理人もいなく稚内の観光時の利用に人気らしい。

北麓野営場

利尻島のフェリー乗り場に到着した頃にはもう日が暮れていた。

利尻島の案内標識

降りて目の前にある案内標識の示す通りに進んで行くとすぐに一歩道になった。

途中には温泉や、ファミリーキャンプ場なども通りすぎる。

その一本道をしばらく進んだ突き当たりに北麓野営場があるわけだが、その途中に買い物できそうな雰囲気の店舗などは見当たらないので、登山に必要な行動食や携帯トイレなどは事前に揃えておくべき。

野営場までの道のりは1時間弱歩いたので到着した頃にはあたりは真っ暗だった。

暗闇の中でテントを設営し、夕食を済ませて早めに就寝。

朝は寝坊をして5時に起床したが空のコンディションは良好。

北麓野営場

ここで野営をし、次の日にテントを張りっぱなしで山行をして帰ってきてからそのまま疲れを癒すことができるので非常に便利だと思う。

バンガローを利用するのもきっと良いだろう。

野営場の設備や営業時間

この北麓野営場の管理棟には各種ダストボックスや飲料の自動販売機、シャワールーム、バンガローなどが完備されているほか、携帯トイレなども販売しているらしい。

しかし、営業時間は11時〜16時半頃と短めなのでシャワーや携帯トイレを必要とする場合はその時間の中で済ませる必要がある。

聞いてみた感じでは営業時間はややアバウトな印象だったので、時間がギリギリになりそうな人は注意しよう。

水場には近くの湧き水である甘露泉水からひいた水道水が使われていて、トイレも清潔で好印象だった。

利用者のマナーも良く、終日静かで穏やかな印象だ。

ちょっと気になったのは、テントのペグを打つ際に深く刺さらなかったこと。

一見綺麗な芝生ではあるが、下に砂利があるのかなかなか刺さらない。ペグ打ちの代わりに石にロープを巻きつけて固定しているテントも見かけたので、周りもそうなのだろうと思った。風が強い日は注意が必要だろう。

いざ利尻富士へ!

登山の開始時刻は6時すぎ。

野営場にテントを張ったまま荷物を軽くして登山開始。

5時〜6時くらいが混雑のピークのようだったので周りに人気は少ない。

歩き始めてすぐのところにある甘露泉水が気分を盛り上げてくれる。

甘露泉水

たまに景色が開けると礼文島が見えた。

利尻山から見た礼文島

序盤は利尻山を望むこともできずダラダラとした斜面が続くが、どんどん登りがキツくなっていく。

視界が大きくひらけて利尻山を展望できるのはだいたい8合目くらいまで登らなくてはならない。

その登りの途中で気がついたのだが、前日の夜に寝つきが悪かったのでウィスキーをガブ飲みした結果とても喉が乾いてしまい、水が足りないかもしれないという不安がよぎった。

いつもなら2リットルの水があれば余して帰るくらいだがきっと今回はそうはいかない。軽い脱水症状らしい。

そんな体調不良を抱えた状態でようやく8合目をすぎる。 利尻山

8合目なのに、この時点で残りの水は1リットル。

真下に見える小さな点は避難小屋で、そこからの傾斜は見ての通りのありさま。大丈夫か?

それとは対照的に、利尻山は人気も高く利尻島にとっても大事な観光資源のようで環境は整っていて平和だ。他の登山者の笑顔も明るい。

山道の後半はところどころにベンチや携帯トイレブースが備えられている。

「水の問題を抜きにすれば最高じゃん!」というのがここまでの感想だ。

ちなみに、ご飯を食べるなら8合目あたりが良いと思う。頂上は風も強いだろうから、ここならベンチもあるし利尻富士を眺めながらきっと美味しい昼食が摂れると思う。

利尻山の山頂と下山

9合目あたりから、続々と下山者とすれ違う。

7~8メートルほど先にいる下山途中の人に「どうぞ〜」と声をかけられるも、その7~8メートルを一気に上がるのがキツい。

本当は一息つきたくてもそう言われてしまっては止まることはできないではないか!と思いつつ、そういうやりとりをしているうちに山頂へ到着。

時刻は11時前。

利尻山山頂

利尻山の山頂が崩落寸前だという話は聞いたことがあるが、これがその山頂付近。

その手前には今は土嚢などが積まれていて、なんとか修復をしながら持ちこたえている。

もしかしたら登れなくなってしまうかもしれない名峰の土を踏むことができたのは本当に嬉しい。

利尻山山頂から

快晴だった空にはいつの間にか雲が覆い、周辺には山もなく、空に浮かんでいるような気分になったが、とにかく喉が乾く。

じつはこの時点で水は残り2~300mlしかなく、昼食のアルファ米などを食べるのをここで完全に断念した。

ここまでで口に入れたのはザックにたまたま残っていたソイジョイ2本のみ。

近くの登山者に「飴をください!」と甘えそうになったが必死で堪えた。

この状態では体温の低下が心配だったので、頂上に滞在したのはほんの15分ほどしかなく、準備の悪い自分を呪いながら下山を開始することに。

利尻山頂の祠

この山頂の祠は皮肉にも自分を呪う戒めになった。

早々に下山を開始したものの、ほどなくして本当に疲れて足が前に出なくなってしまった。

初めてマラソン大会に出場したときに経験した、どこか痛いわけでもないのに足が上がらなくなるアレだ。そう、エネルギー切れ。

そこで、私は登山の途中ではあるが8合目近くにある避難小屋横のベンチで寝ることにした。

寝ること20分ほど、少し横になっただけではあるが調子が良くなったのが自分でもわかるほどに回復。

その後も休み休みではあるものの、なんとか元の登山口までたどり着くことができた。

下りの時間はおよそ5時間とちょっと。時刻は16時すぎ。

念願の利尻山を歩きながら感動しつつ、自分の性格の甘さを再認識しながらも、それを含めて有意義な経験を積むことができた。

野営場のシャワーにもギリギリ間に合い、夕飯にご飯を炊き、そのまま19時には就寝。よっぽど疲れていたのだろう。

本当に北麓野営場を選んで正解だったと心底思った。

翌朝はまた5時くらいに起床して、朝食を摂り、テントなどを片付けて鴛泊のフェリー乗り場まで向かう。

そこまでが今回の山行の全てだ。

帰りも午前中のフェリーに乗り遅れるのではないかと心配になったが、なんとか間に合った。

利尻の海鮮は美味しいらしいのであわよくば食べたい!と思っていたが、今回は何も食べずに帰ってきたので次があったらウニ丼やラーメンなども食べてみたい。

と、後ろ髪を引かれる思いでフェリーから利尻山を見つめる。

雲をかぶった利尻山

この日も同じくらいの時間にシャンプーハットのような雲がかかっていた。

ということで利尻での山行はここまで。